ご存知のようにAbuのベイトリールのスプールは3つのベアリングで保持されている。スプールシャフトに組み付いている真ん中のやつ(5x11x4mm)は、圧入されているスプールシャフトピンを抜かないと取れない。度々ベアリングを外してオイルリフレッシュをしたい者としては面倒くさい仕様だ。今まで何度か、バイス(万力)を使って抜き差ししたが、嫌な汗をかき心臓に良くない。もちろん、
あの道具(正しくは
スプールシャフトピンリムーバーと言うべきだと常々思う-まあいいか)を買えば済むことなのだが、うちにはバイスがある。10年以上前に2千円くらいで買ったバイスで、いろいろと役に立ってきてくれた。対して
アレはシャフトピンを抜くのにしか使えない。そんなものに3千円を支払うことにどうしてもひっかかりが取り払えない。安直に逃げるのは容易いが、それじゃぁただの思考停止だ。なんとか工夫して自作できないものかと、しばらくあれこれ思案していた。
試しにネットで万力を検索してみた。本職用のバイスでは、口金が交換できるものがあって、アルミ製の口金を対象物に合わせて加工して使うのが当たり前なのか。ふーん、こっちは廉価品にも使える簡易型の口金アタッチメントか - マグネットでくっつけるみたいだな - マグネット...これだ! 知らず知らずのうちに3千円のアレの形状にばかり囚われていた自分に気付く。
百均をウロウロして、脳裏に浮かんだイメージに近い品が見つかった。マグネットピンというやつだ。
アクリル製のようにも見えるが、モールドで作られたヤワな透明ポリスチレン製。よーく見ると素材が中までしっかり詰まっておらず、つまみの中心軸方向に細長い1本のスが入っている。ドリルでセンターに穴を掘る構想だったが、この空洞がそのまま利用できるかもしれない。10本中3本くらいは、気泡の偏りの少ない使えるやつがあるだろう。底辺の直径は1cmほどだが、ネオジムマグネットは意外とちんけで直径5mmほど - これも却って好都合だ。大きすぎるとスプールやベアリングと干渉してしまう。
で、最初に作ってみたのがコレ。つまみの先端のボール状部分を切り落とし、スプールシャフトの丸みに沿うよう切り口に丸棒ヤスリでU字溝を掘った。底辺は、手前に来る側をマグネットぎりぎりで削ぎ落とした。
つまみセンターの気泡は底の磁石まで達しており、穴の径もちょうどシャフトピンが通る太さ。お陰でドリルでの穴繰りは不要だった。これはいいぞ。さて、ピンは最初の滑り出しが一番固い。ぐいっ、ぐいっ、ビシッ。マグネットピンのプラスチックに亀裂が! やっぱり強度不足か。次行ってみよう。策はある。今まで万力でやる時に使っていたアルミカラーにひと工夫しよう。
[用意したもの] マグネットピン以外全部ありもの。
- 1.5mm厚のアルミ板。地デジのアンテナを作って遊んだ時の切れ端。
- ゴムマグネットシール。「水漏れ修理」の宣伝で郵便受けに放り込まれていたやつ。
- アルミカラー。ミニッツレーサー(ラジコン)で昔遊んでいた時に買った外径4mm x 内径2mm x 長さ7mmのもの。
- マグネットピン 1個。